二階幹事長の問題発言。歴史を知らないのか
二階幹事長が「このごろ『子どもを産まない方が幸せに送れるのではないか』と、勝手なことを自分で考えて」と前置きした上で
「みんなが幸せになるためには子どももたくさん産んで国も栄え発展していく方向にしていかなければならない」
と言うような発言をしたとして話題になっている。
私はこの発言はかなり問題を孕んでいると思うのだ。
かつてのルーマニアの歴史
かつてルーマニアにはチャウシェスクと言う独裁者がいた。
彼は国益のことを考え、子供を多く作る施策を実施した。
避妊具の使用を禁止し、中絶をした場合は重い罰則を設けたのだ。
当時のルーマニアはかなり疲弊しており国民生活は極貧を極めていたと言われる。
そんな中、子どもを作らなければいけない環境になり、貧困は更に壮絶になった。
結果として、孤児が増え、孤児院は常に満員状態に陥った。
孤児院の環境も劣悪で、多くの虐待があったと言われている。
子供を抱えきれなくなった孤児院は子どもの人身売買など、およそ日本では考えられない事態が現実として起こったのだ。
”https://www.rino-iroiro.top/2016/08/12/ルーマニアの独裁者「チャウシェスク」/″
チャウシェスクの落とし子
チャウシェスク政権解体後、この施策は廃止されたが、子どもたち救われることはなかった。
もともと医療技術も充分でなかった子どもたちは伝染病、多くはエイズに感染していたのだ。
この施策で生み出された子どもたちは、チャウシェスクの落とし子と呼ばれている。
二階の落とし子を作るのか
多くの人はルーマニアの歴史を知らず、チャウシェスクと言う人物にも知識がないだろう。
だからこそ私は警鐘を鳴らしたいのだが、ルーマニアの歴史を再現しようと言うのだろうか?
現在でも、日本の孤児院の数は少なく手当も充分ではない。
また安易に子どもを増やせば国が豊かになると言う考えはチャウシェスクの考え方そのものだ。
長年国会議員を務め、幹事長にまでなる二階氏がチャウシェスクを知らないとは言わないだろう。
子ども軍隊にした独裁者
歴史の中には、国民の半数を子どもだけにした独裁者も存在する。
「ポル・ポト」と言う人物だ。
カンボジアの独裁者だった彼は自身の権力が無くなることを恐れて、有識者の粛清を行った。
学者や医者といった有識者をはじめ、眼鏡をかけている者、文字を読もうとした者など、大人をことごとく排除した。
そして出来上がったのは子どもが国民の80%を占める国だ。
医者も軍隊も教師も子どもが務め、なんの知識もない子ども達が重責を負わされることになったのだ。
子どもが増えれば豊かになるわけではない
チャウシェスクの歴史、ポルポトの歴史を鑑みても、子どもが増えたからといって国が豊かになる現実は有り得ない。
また日本の現在の経済状況を把握していれば、一番子どもを産んで育てる層への手当や施策は不十分だと言わざるを得ない。
子どもの教育にかかる費用は生まれてから大学卒業までで2000万円程かかると言われている。
若者の手取りがいくらあるのか知っているだろうか?
新卒の手取りで15万前後。
ここから、家賃・携帯代・光熱費・食費・交際費・各種保険を出していけば、自由に使える金は月に6万円前後だ。
仮に子どもがいたとしたら、手元に残る金は更に少ないものになるだろう。
現状では子どもを産んで育てる環境は不十分と言わざるを得ない。
まとめ
二階幹事長は、ルーマニアやカンボジアの歴史について不勉強なのだろうか?
もし、二階幹事長の言うように子どもを産んで増やせば国が豊かになるのであれば、チャウシェスクの落とし子は生まれることはなかっただろう。
環境が整わず、子どもの数が増えれば、結果としてポルポトのような状況に陥らないだろうか。
単純に労働力の確保を目指しての発言ならば、もっと言い方があっただろう。
私たちは過去の歴史から学ばなければならないのだ。
チャウシェスクの落とし子も、ポルポト政権時のカンボジアも二度と生み出してはいけない。
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